
長野建設事務所発注 令和3年12月竣工 令和元年度国補通常砂防工事(砂)西の入 飯綱町 高坂北 砂防堰堤工 本提工 H=8.0m L=46.0m V=890m3 鋼製スリット工
本工事は、飯綱町高坂北に位置する渓流「西の入」において、土石流・流木災害から地域の暮らしを守るために実施した砂防工事です。施工箇所の「西の入」は、土石流危険渓流に位置づけられており、上流域には不安定な土砂の堆積が確認され、降雨時などに土石流が発生する懸念がある区域です。
この渓流の下流には住宅地が広がり、土砂災害警戒区域内だけでも人家77戸が存在します。さらに、避難所に指定されている牟礼西小学校や、災害時要援護者に関わる施設(介護・児童施設等)、県道(長野信濃線)などが近接しており、万一、土石流が発生すれば、生活・交通・避難体制に大きな影響が及ぶ可能性が指摘されています。
土石流は、土砂や巨礫、流木が一体となって一気に流下し、短時間で被害が拡大します。西の入では「近年大きな災害はない」とされる一方で、上流に堆積した土砂や倒木等が引き金となり、被害が起きる前の対策が求められていました。 
そこで本工事では、砂防堰堤(本堤)を整備し、下流の集落や道路、公共施設を守る“砦”を築くことを目的としました。
施工内容は、砂防堰堤工(本堤)H=8.0m/L=46.0m/V=890m³に加え、鋼製スリット工を組み合わせた構造です。
鋼製スリット(透過型)の考え方は、平常時の流水はできるだけ阻害せずに流しつつ、土石流時には巨礫や流木等を捕捉して下流への流出を抑える点にあります。透過型えん堤は、普段の土砂を通過させて堆砂容量を保ち、必要な時に機能を発揮できるよう“空き容量”を確保しやすくなります。
また、山間部の渓流工事は、狭い施工ヤードや増水リスク、資機材搬入の制約など、現場条件が厳しいことが少なくありません。周辺環境への影響を抑えながら安全に施工を進め、堰堤本体と鋼製部材が一体となって確実に機能する構造を整備しました。
完成した砂防堰堤は、上流から流下する土砂・巨礫・流木を受け止め、下流への急激な流出を抑えることで、地域の重要拠点を守る役割を担います。
砂防施設は、普段は目立たない存在ですが、豪雨時に「被害を出さない」ことで初めて価値が現れるインフラです。本工事は、西の入流域の安心を足元から支え、地域の暮らしと防災力を高める施工実績となりました。




