
長野県長野地域振興局林務課発注 令和6年3月竣工 令和4年度災害関連緊急治山 事業第2号工事
長野市鬼無里地区は裾花川上流の山間盆地にあり、周囲を荒倉山や戸隠連峰などの急峻な山々に囲まれています。地質は砂岩・泥岩・凝灰岩(裾花凝灰岩)で構成され、水を含むと脆い性質があります。冬季の積雪は非常に多く、例年で3メートルを超え年によっては4メートル以上に達し、根雪期間が100日を超える特別豪雪地帯です。春先の融雪期には大量の雪解け水が地層に浸透し、この脆い地盤が不安定化することで大規模な地すべりを度々引き起こしてきました。
このような地質的条件により、鬼無里盆地では古くから繰り返し土砂災害に見舞われています。特に瀬戸(せと)集落周辺は裾花川右岸に位置する小谷(こたに)の出口にあたり、過去に崖崩れ・土石流が発生した記録があります。1991年3月には鬼無里字瀬戸地区で斜面崩落が起こり、当時の主要道路が全面通行止めとなる被害が発生しました。また1980年代にも鬼無里内の谷筋(若揃沢上流など)で地すべり・土石流が確認されており、瀬戸地区の谷も土砂災害のリスクを抱える地域です。瀬戸集落付近を流れる谷の規模自体は小さな渓流ですが、上流山腹に不安定土砂が堆積し豪雨や融雪時に崩壊すれば裾花川本流まで土砂が流下しうる地形となっています。こうした背景から鬼無里地区全体で土砂災害警戒区域の指定が進められており、瀬戸周辺もハザードマップで警戒ゾーンに含まれています。
工事は、令和4年度の災害関連緊急治山事業として鬼無里字瀬戸の渓流で実施された谷止工(たにどめこう)の補強工事です。令和元年東日本台風や令和3年の豪雨災害など、近年の一連の災害を受けて計画・施工された緊急対策でもあります。具体的には、既設のコンクリート砂防ダム(治山ダム)1基について増厚(ダム厚の補強)と嵩上げ(ダム高さの延長)を行いました。完成したダムの規模は長さL=32.5m、高さH=7.0m(うち嵩上げ部分+3.0m)、施工コンクリート量V=550m^3に及びます。増厚によってダムの耐久力・安定性を高め、嵩上げによってより上流側に土砂を貯留できる容量を拡大する設計です。工事は長野地域振興局林務課の発注で行われ、令和6年3月に竣工しました。




